介護人材の確保が難しくなる中、石川県内でも外国人材の採用を検討する介護事業者が増えています。
その中でも活用されている在留資格の一つが、「特定技能1号(介護)」です。
しかし、特定技能1号の受入れは、外国人本人が試験に合格していればそれだけで完了するものではありません。
「どの試験に合格していればよいのか」
「技能実習を終えた外国人は試験が免除されるのか」
「登録支援機関には必ず依頼しなければならないのか」
「介護分野の協議会にはいつ加入するのか」
「金沢市にも何か提出する必要があるのか」
実際の手続では、外国人本人の要件だけでなく、受入れ事業所、雇用契約、支援体制、介護分野独自の要件、地方公共団体との連携まで確認する必要があります。
この記事では、石川県・金沢市で介護分野の特定技能外国人を受け入れたい事業者の方に向けて、2026年9月29日時点の制度をもとに、特定技能1号(介護)の仕組みと手続を行政書士ができるだけ分かりやすく解説します。
この記事の情報について
特定技能制度は改正・様式変更が比較的多い制度です。出入国在留管理庁では、2026年8月20日にも特定技能外国人の受入れに関する運用要領や申請・届出様式が更新されています。実際に申請する際は、必ず申請時点の最新の運用要領・提出書類一覧を確認してください。
この記事の情報について
特定技能制度は改正・様式変更が比較的多い制度です。出入国在留管理庁では、2026年8月20日にも特定技能外国人の受入れに関する運用要領や申請・届出様式が更新されています。実際に申請する際は、必ず申請時点の最新の運用要領・提出書類一覧を確認してください。
- 特定技能1号「介護」とは?
- 特定技能1号(介護)になるために必要な試験
- 技能実習2号を修了した場合は試験が免除されることがあります
- 受入れ事業者側にも多くの要件があります
- 【重要】介護分野の協議会は在留申請「前」に加入します
- 2025年4月から「協力確認書」も重要になりました
- 1号特定技能外国人支援計画とは?
- 石川県で特定技能1号(介護)を受け入れる大まかな流れ
- 特定技能1号(介護)の必要書類は「外国人・受入れ機関・介護分野」の3方向から確認します
- 特定技能外国人は訪問介護でも働けるようになっています
- 特定技能1号は原則5年。ただし介護分野では2026年に新たな措置も始まっています
- 石川県内の介護事業者が利用できる補助制度もあります
- 2026年10月1日から在留資格変更・更新の手数料制度が変わります
- 特定技能介護の申請で特に注意したいポイント
- 石川県・金沢市で特定技能1号(介護)の受入れをご検討の事業者様へ
特定技能1号「介護」とは?
特定技能は、人材を確保することが難しい特定の産業分野で、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れるための在留資格です。
介護分野では、特定技能1号の外国人が、利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつなどの身体介護や、これに付随するレクリエーション、機能訓練の補助などに従事することができます。
特定技能1号の在留期間は、現在、法務大臣が個々に指定する3年を超えない範囲の期間とされ、特定技能1号として在留できる期間は原則として通算5年以内です。
在留資格「介護」と特定技能「介護」は別の制度です
名前が似ているため混同されやすいのですが、在留資格「介護」と特定技能1号の介護分野は別の在留資格です。
特定技能1号は、介護福祉士資格を取得する前の外国人にも利用され得る制度である一方、在留資格「介護」は、原則として介護福祉士資格を有する外国人が介護等の業務に従事するための在留資格です。
また、介護分野については、すでに専門的・技術的分野の在留資格「介護」が設けられていることから、特定技能2号の対象にはなっていません。
そのため、介護分野で長期的に日本で働くことを希望する外国人にとっては、特定技能1号で経験を積みながら介護福祉士国家試験への合格を目指し、その後、在留資格「介護」へ移行することが重要なキャリアの一つになります。
特定技能1号(介護)になるために必要な試験
試験によって特定技能1号(介護)を目指す場合、原則として、介護分野独自の技能・日本語試験に加え、一般的な日本語能力についても基準を満たす必要があります。
| 確認される能力 | 原則として必要となる試験等 |
|---|---|
| 介護の技能 | 介護技能評価試験 |
| 介護現場で必要な日本語 | 介護日本語評価試験 |
| 基礎的な日本語能力 | 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)N4以上 |
つまり、「JLPTのN4に合格しているから特定技能介護になれる」というわけではありません。
通常の試験ルートでは、N4以上またはJFT-Basicに加えて、「介護日本語評価試験」と「介護技能評価試験」についても確認が必要です。
なお、2026年4月1日から、介護技能評価試験の合格基準は総得点の60%以上、介護日本語評価試験は総得点の73%以上とされています。試験日程や実施方法については変更される可能性があるため、受験時点の厚生労働省等の案内を確認する必要があります。
技能実習2号を修了した場合は試験が免除されることがあります
特定技能では、これまでの技能実習歴によって試験が免除される場合があります。
特に、介護職種の技能実習2号を良好に修了した外国人については、介護技能評価試験や日本語試験について、所定の要件を満たすことにより免除の対象となります。
一方、介護以外の職種で技能実習2号を良好に修了した場合は、一般的な日本語試験については免除対象となり得ますが、介護分野との技能の関連性がないため、介護技能評価試験については原則として別途確認が必要です。また、介護職種以外の技能実習の場合、介護日本語評価試験は免除されません。
このほか、介護福祉士養成施設の修了者や、EPA介護福祉士候補者として所定の在留期間を満了した者についても、一定の試験に合格した者と同等以上の水準があるものとして取り扱われる制度があります。
実務では「技能実習を終えているから全部免除」と一括りにせず、どの職種・作業の技能実習を、どのような形で修了したのかを確認することが重要です。
受入れ事業者側にも多くの要件があります
外国人本人が試験等の要件を満たしていても、それだけでは特定技能1号の許可には足りません。
受入れ機関には、適切な雇用契約を締結していること、関係法令を遵守していること、適切な支援体制を整えていることなどが求められます。
特に報酬については、同等の業務に従事する日本人の報酬額と同等以上でなければなりません。外国人であることを理由に低い賃金を設定することは認められていません。
さらに介護分野には、分野独自の要件があります。
| 介護分野で特に確認したい項目 | 内容 |
|---|---|
| 雇用形態 | 直接雇用 |
| 受入れ人数 | 原則として事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限 |
| 受入れ先 | 介護分野の対象となる施設・事業所であること |
| 協議会 | 介護分野における特定技能・育成就労協議会への加入が必要 |
| 支援 | 1号特定技能外国人支援計画の作成・実施が必要 |
介護分野は直接雇用が原則であり、他社から派遣を受けて介護業務を行わせる制度ではありません。
【重要】介護分野の協議会は在留申請「前」に加入します
特定技能介護の手続で特に注意したいのが、「介護分野における特定技能・育成就労協議会」への加入時期です。
現在は、特定技能外国人を介護分野で受け入れる法人は、地方出入国在留管理局へ在留諸申請を行う前に協議会の構成員となり、外国人を受け入れる事業所の情報が登録された入会証明書の発行を受ける必要があります。
厚生労働省が示す現在の流れでは、協議会への入会申請後、確認が完了すると通常2週間程度で入会証明書が発行され、その後に地方出入国在留管理局へ在留諸申請を行います。
さらに、外国人を実際に受け入れた後は、受入れ日から4か月以内に外国人情報を協議会システムへ登録することとされています。
古い情報では、受入れ後に協議会へ加入するような説明が残っている場合がありますが、現在の手続では申請前の確認が重要です。
2025年4月から「協力確認書」も重要になりました
2025年4月1日から、特定技能所属機関と地方公共団体との連携に関する制度が開始されています。
特定技能所属機関は、原則として、外国人が勤務する事業所の所在地と外国人の住居地が属する市区町村に「協力確認書」を提出する必要があります。勤務先と住居地が同じ市区町村であれば、その市区町村に1通提出する取扱いです。
初めて特定技能外国人を受け入れる場合には、外国人との特定技能雇用契約を締結した後、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う前に提出します。
金沢市で受け入れる場合も協力確認書の手続があります
金沢市も、特定技能所属機関向けに協力確認書の提出方法を公式サイトで案内しています。
例えば、勤務先が金沢市で、外国人の住居地も金沢市であれば金沢市への提出となります。一方、勤務先が金沢市でも住居が野々市市など別の市町にある場合には、それぞれの市町への提出が必要となる場合があります。
また、2025年4月以降は、地方公共団体が実施する共生施策を確認し、それを踏まえて1号特定技能外国人支援計画を作成・実施することも制度上求められています。
石川県で特定技能外国人を受け入れる場合、「入管に出す書類だけを作ればよい」という制度ではなくなっている点には注意が必要です。
1号特定技能外国人支援計画とは?
特定技能1号の外国人を受け入れる機関は、外国人が日本で安定して生活・就労できるよう、1号特定技能外国人支援計画を作成し、その計画に基づいて支援を実施しなければなりません。
支援には、事前ガイダンス、住居確保や生活に必要な契約への支援、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、定期的な面談などが含まれます。
支援計画は在留申請時に提出する必要があります。受入れ機関自身で適切に支援を行う方法のほか、登録支援機関へ委託して実施することもできます。
したがって、「登録支援機関に委託しなければ特定技能外国人を受け入れられない」というわけではありません。
ただし、自社で支援を行う場合には、支援体制や支援責任者・支援担当者などについて所定の基準を満たしているかを別途確認する必要があります。
石川県で特定技能1号(介護)を受け入れる大まかな流れ
実際の案件では外国人の現在の在留資格や経歴、海外から呼び寄せるのか国内で変更するのかによって手続が異なりますが、大まかな順序は次のようになります。
- 外国人の現在の在留資格、技能実習歴、試験合格歴などを確認する
- 受入れ予定の施設・事業所が介護分野の対象となるか確認する
- 労働条件・報酬等を確認し、特定技能雇用契約を締結する
- 事業所所在地・住居地の市区町村へ必要な協力確認書を提出する
- 介護分野における特定技能・育成就労協議会への加入手続を行い、入会証明書を取得する
- 1号特定技能外国人支援計画を作成し、受入れ機関側・外国人側の必要書類を整える
- 在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行う
- 許可・受入れ後も、協議会への外国人情報登録、入管への各種届出、支援の実施などを継続する
特定技能では、在留資格の申請そのものだけでなく、その前後の手続を正しい順番で進めることが非常に重要です。
特定技能1号(介護)の必要書類は「外国人・受入れ機関・介護分野」の3方向から確認します
出入国在留管理庁の現在の提出書類一覧は、大きく、申請人に関する書類、所属機関に関する書類、分野に関する書類に分けられています。
| 区分 | 主な確認内容 |
|---|---|
| 外国人本人 | 申請書、写真、旅券・在留カード、技能・日本語能力を証明する資料、試験免除を証明する資料など |
| 受入れ機関 | 雇用契約・労働条件、報酬、法人関係資料、税・社会保険・労働保険関係資料、支援体制等 |
| 支援関係 | 1号特定技能外国人支援計画、登録支援機関へ委託する場合の関係資料等 |
| 介護分野 | 介護分野に関する誓約書、協議会関係資料、受入れ事業所に関する資料等 |
ただし、この表だけを見て書類を集めるのはおすすめできません。
法人の状況、過去の特定技能外国人の受入れ実績、申請の種類、外国人の経歴などによって必要書類が変わるためです。
また、出入国在留管理庁の提出書類一覧・確認表そのものも改訂されます。申請直前に最新版を確認することが重要です。
特定技能外国人は訪問介護でも働けるようになっています
以前は「特定技能外国人は訪問介護には従事できない」と理解されていた方も多いと思います。
しかし、制度が改正され、2025年4月21日から、一定の条件を満たす特定技能外国人について訪問系サービスへの従事が認められました。
ただし、施設介護と全く同じ条件でそのまま訪問介護に従事できるわけではありません。
介護職員初任者研修課程等を修了し、原則として介護事業所等で1年以上の実務経験を有することなどが求められるほか、受入れ事業所側にも遵守事項があります。また、訪問系サービスに従事させる場合には、協議会事務局へ必要書類を提出し、適合確認書の発行を受ける必要があります。
さらに、外国人ごとのキャリアアップ計画の作成や、その後の定期報告も必要です。
そのため、「2025年から訪問介護が全面的に自由化された」と理解するのは正確ではありません。
特定技能1号は原則5年。ただし介護分野では2026年に新たな措置も始まっています
特定技能1号として在留できる期間は、原則として通算5年以内です。
一方、介護分野では2026年から、介護福祉士国家試験における「パート合格」の導入に伴い、一定の要件を満たす外国人について、特定技能1号の通算在留期間を延長できる特例的な措置が設けられています。
これは単に「介護分野なら5年を超えて働けるようになった」という制度ではありません。
介護福祉士国家試験の成績やパート合格、学習計画など所定の条件を満たし、厚生労働省の確認等を受けたうえで在留手続を行う仕組みです。
したがって、原則は今も「特定技能1号は通算5年以内」と理解したうえで、対象者について個別に延長措置の利用可能性を検討する必要があります。
石川県内の介護事業者が利用できる補助制度もあります
石川県では2026年度、介護職種の技能実習生や介護分野の特定技能1号外国人を雇用している県内介護事業者を対象に、外国人の日本語学習にかかる経費の一部を補助する「石川県外国人介護人材日本語能力向上支援事業費補助金」を実施しています。
2026年度制度では、補助率は対象経費の2分の1、補助上限額は外国人1人当たり7万5,000円です。受付期限は2026年12月18日とされていますが、予算上限に達した場合には期間内でも受付を終了することがあります。
こうした制度は年度ごとに内容が変更されるため、実際に利用する際は石川県の最新情報を確認してください。
外国人材の受入れは在留資格だけでなく、採用後の日本語教育や定着支援まで含めて考えることが重要です。
2026年10月1日から在留資格変更・更新の手数料制度が変わります
この記事を公開する時期に特に注意したい改正があります。
2026年10月1日から、在留資格変更許可・在留期間更新許可などの手数料が改定され、許可される在留期間に応じて手数料額が異なる制度へ変更されます。
2026年9月30日までに受け付けられた申請については、許可が10月1日以降になっても改定前の手数料が適用されます。一方、10月1日以降の申請は新しい料金体系の対象となります。
申請時の費用を案内する場合には、古いウェブサイトや過去の記事の金額をそのまま参照せず、必ず出入国在留管理庁の最新の手数料表を確認するようにしましょう。
特定技能介護の申請で特に注意したいポイント
「試験に合格した=許可」ではありません
技能試験・日本語試験への合格は重要な要件ですが、それだけで在留資格が許可されるわけではありません。
外国人本人の在留状況、受入れ機関の適格性、雇用契約、報酬、支援体制、介護分野独自の基準などを総合的に確認する必要があります。厚生労働省も、試験合格そのものが在留資格の付与を保証するものではないと案内しています。
「技能実習を修了した=すべての試験免除」とは限りません
技能実習の職種によって免除される試験が異なります。技能実習の修了証明書だけで判断せず、職種・作業と介護分野との関係を確認することが重要です。
協議会と自治体への手続を忘れないようにしましょう
現在の介護分野では、協議会への加入を在留諸申請前に行う必要があります。また、2025年4月からは市区町村への協力確認書も制度化されています。
以前の制度を前提にしたチェックリストをそのまま使用すると、現在の手続と合わない可能性があります。
石川県・金沢市で特定技能1号(介護)の受入れをご検討の事業者様へ
特定技能介護の申請は、外国人本人の書類だけを作成する手続ではありません。
本人の経歴や試験・技能実習歴の確認から、受入れ事業所の要件、雇用条件、支援計画、協議会、地方公共団体との連携、在留資格申請まで、複数の制度を一つずつ確認する必要があります。
特に近年は、協力確認書制度や訪問系サービスへの対象拡大、介護福祉士国家試験に関連する在留期間延長措置など、介護分野の特定技能制度にも重要な変更が続いています。
行政書士ピース法務事務所では、石川県・金沢市を中心に、外国人本人だけでなく受入れ事業者側の状況も確認しながら、特定技能に関する在留手続をサポートしています。
代表行政書士は、独立前に県の公的な窓口で企業・外国人材に関わる業務に携わってきました。
代表行政書士の経歴や当事務所の方針については、「代表あいさつ」もご覧ください。
「初めて特定技能外国人を受け入れるので、何から始めればよいか分からない」
「技能実習から特定技能へ変更できるか確認したい」
「登録支援機関から書類を受け取ったが、申請に不足がないか不安」
「介護分野の協議会や協力確認書までまとめて確認したい」
といった場合も、まずは現在の状況を整理するところからご相談いただけます。
制度が複雑だからこそ、古い情報だけで判断せず、申請時点の最新制度に基づいて一つずつ確認することが大切です。
特定技能を含む在留資格申請の報酬については、「料金表」もご確認いただけます。
石川県で特定技能1号(介護)の受入れ・在留資格申請をご検討の方は、行政書士ピース法務事務所までお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
行政書士ピース法務事務所
代表行政書士 川本将太郎
石川県金沢市を拠点に、帰化・在留資格などの外国人関連手続、各種許認可、自動車登録等を取り扱っています。開業前には、企業を対象とする県の窓口で公益事業に従事していました。
※本記事は2026年9月29日時点で公表されている出入国在留管理庁、厚生労働省、石川県、金沢市等の情報に基づいて作成しています。制度・必要書類・様式等は改正される場合があります。個別の申請では、申請時点の最新情報と具体的な事情をご確認ください。

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